「日本一のエンタメ鉄道」
房総半島の東の端、銚子市を走る「銚子電気鉄道」は、ローカル線ながら「エンタメ鉄道」としての幅広い活動で、鉄道ファン以外にも知られた存在です。「ぬれ煎餅」等々の販売で鉄道の維持費用を捻出し、帝国データバンクは鉄道会社ではなく「米菓製造業」に分類。以前、アイデアマンの竹本勝紀社長と社員各位の奮闘を描いた映画「電車を止めるな!」を拝見しましたが、感動作でありました。
発端
その銚子電鉄の竹本社長が何とアマチュア無線の免許をお持ちであることが、Twitter(現X)上で話題になったのが2022年12月。テレビ朝日の番組で、番組コメンテーター・かのJA7JJN柳澤秀夫さんに対しアマチュア無線の交信を熱望されたとのこと。
https://twitter.com/7L4TID/status/1598506239839043584
竹本社長の本業は税理士で私の本業と近いこともあり、一方的に親近感を抱いて、いつかご挨拶したいと思っておりました。
その夢が叶ったのが2023年7月28日。銚子電鉄が東京駅構内に臨時販売ブースを出店、竹本社長もいらっしゃるというではありませんか。仕事も早々に切り上げて東京駅内のNewDaysに駆け込み、「プレミアムぬれ煎餅」やら「まずい棒」やら「銚電焼きそば」やらを買い込みます。
https://platform.twitter.com/widgets.jsついいっぱい買っちゃいました😋
— 7K1BIB, AC1AM 山内貴博(JARL参与・社員2期目) (@7K1BIB) July 28, 2023
東京駅北コンコースにて。#銚子電鉄 https://t.co/UOiVoRmLVR pic.twitter.com/mCr6Ga4xKZ
購入したオリジナルタオルが何と竹本社長直々のデザインということで、社長へのご挨拶に成功。名刺交換ののち、自分も法律家であり、アマチュア無線家であること、最近「#駅前QRV」なるものが流行っていることなどをお話しします。社長は大変気さくな方で、中学時代にアマチュア無線を一生懸命されていたが、進学で離れてしまったこと、柳澤アナに話しかけるきっかけとしてふと無線のことを思い出し振ったところ、話が盛り上がったことなどをお話しくださいました。
お忙しい中、約20分もお時間を頂戴する中、「実は、銚子電鉄の各駅からみんなで「#駅前QRV」できたらいいなと話してるんです。」と伏線を挿入。
帰宅後、お礼のメールをお送りしたところ、竹本社長からお返事を頂きました。そこで「#駅前QRV」の始祖、7L4XQIけんけんさんをご紹介し、銚子電鉄の各駅から「#駅前QRV」をするご提案。社長直々に、ご快諾を頂けたのでした。
Zoom会議での打合せで、銚子電鉄にはアマチュア無線の従免保有者が何と3名もいらっしゃることが判明。社長が列車運転のため(!)退席され、残った社員の方々と、銚子市内の「愛宕山」のロケが素晴らしいことなど、本格的な無線談義になってしまったのでした。
そして、けんけんさんと私は、「#駅前QRV」常連の方々の中から参加者を募集。銚子電鉄周辺には複数のParks On The Air指定公園もあることから、POTA勢にもお声がけ。
こうして、駅の数10を超える13名の猛者たちが、2023年11月3日「文化の日」午前10時に銚子駅に集合することになったのでした。
銚子へ
11月3日の朝、銚子行き特急「しおさい1号」に乗車すべく東京駅地下ホームに降り立つと、ホームには何やら無線機を持った人々がすでにたむろしており、否が応でも気分が高まります。
銚子駅は約40年ぶり。中1の夏休み、家族旅行からひとり離れて銚子電鉄に乗りに来たのが最初の訪問でした。駅構内にあったレストランに生まれて初めてひとりで入り、ドキドキしながら焼きそばをたべたことをよく覚えているのですが、改装になったようでレストランは跡形も無かったのは残念でありました。
交信実験サポート編
銚子駅前で記念撮影をし、みなさんは銚子駅10時20分発の銚子電鉄外川駅行きに乗車、各駅に散り散りになる一方で、私はタクシーで「愛宕山」に向かいます。各駅間の通信実験で電波が届かなかったときにサポートをするバックアップ役を仰せつかった次第なのですが、なにせ初めて来訪する場所。どこが運用に適しているかまったく土地勘がありません。
えいやと「地球の丸く見える丘展望館」の前、「日比友愛の碑」あたりに陣取ります。
各駅間の交信の様子は、けんけんさんの名レポート、CQ誌2024年2月号144ページの「鉄分多めの駅前QRVコレクション 銚子電鉄後編」をご覧下さい。ここには、当日愛宕山で聞こえる交信の様子をYouTubeで生中継したのですが、その録画を置いておきます(1時間以上ありますのでながら聞きがおすすめ。)。
愛宕山は標高74mあり、全駅楽勝でワッチできるかと思ったのですが、意外にも59は取れない駅がありました。
駅間でQSOが成立しないときは、山の上から割って入って「今、○○駅の△△局からリターン返りましたが、××駅の■■局、取れましたか?」と尋ね、アンテナを長いものに変えていただいたり受信できそうな場所を探していただいたり、ワッチしている方もスリル満点です。園結果、○○駅と××駅の間でQSOが成立したときは、サポート役として充実感がありました。もちろん「レポートの代返」とかはしませんでした。
ひととおり予定していた実験が終わった後、いそいでPC+IC-705+RHM12での運用を準備。7MHz/FT8でオンエアし、JA-0114 水郷筑波国定公園をアクティベートすることができました。とっても天気が良い日で、汗だくになりました。
ゲスト運用・体験運用編
愛宕山を下り、今度は仲ノ町駅に向かいます。竹本社長と従業員の方々の間で、ゲスト運用・体験運用をしていただくためです。私は従免持ちの山口さんと一緒に、近所のカレーの名店「一心」の店頭へ。山口さんに私の「7K1BIB」をゲストオペしていただき、竹本社長がゲストオペする仲ノ町駅前のけんけんさんの局「7L4XQI」との間でQSO成立。その後、映画に登場した圓福寺から、体験者による「JH1RDA」の体験運用と竹本社長との間でも無事交信が成立し、ゲスト運用・体験運用編も大成功に終わったのでした。
ゲスト運用・体験運用の様子は、CQ誌2024年1月号142ページに掲載されているけんけんさんの記事「鉄分多めの駅前QRVコレクション 銚子電鉄前編」をご覧下さい。ここには、赤城南麓ライブカメラさんが編集・公開してくださった動画を置いておきます。
史上初めての「7K1BIB」のゲストオペは、とても思い出深いものになりました。
車庫見学編
こうしてゲスト運用・体験運用も無事おわり、みなさん再集合して仲ノ町の車庫を見学です。銚子電鉄の名車「デキ3」の前で記念撮影(CQ誌2024年2月号147ページ)。本物の車両を間近で観察し放題・さわり放題な上に、台車を牽引して予想以上に軽く動くことに驚いたり、とても貴重な経験をさせて頂きました。
従業員のみなさまに一同お礼を申し上げて仲ノ町駅を後にし、銚子駅前の居酒屋で打ち上げをして、それぞれ帰途に就きました。
竹本社長を始め、銚子電鉄のみなさまのご好意で、とっても充実した「#駅前QRV」の1日を過ごすことができました。感謝しかありません。ありがとうございました。
(参加者がTwitter上で使用した統一ハッシュタグは、「#銚子電鉄駅前QRV」です。リンク先もぜひご覧下さい。)
(2024-02-06 記)