新スプリアス問題に救世主?

新スプリアス規格に適合しない送信機は、平成34年11月末以降使えなくなるという「新スプリアス問題」。

今日、JARDから発表された「お知らせ」は、アマチュア局にとって「救世主」の降臨を預言するものといえそうです。きっと、とてもとても大事です。

昨年9月に公表された総務省のパンフレット(http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/others/spurious/files/newpfrt.pdf )によれば、無線局が新スプリアス規格に対応する手段としては、

①新スプリアス規格に適合した無線機器への取り替え
②送信機出力端子と空中線との間にフィルタを挿入
③実力値の測定
④製造業者等が測定したデータの活用

があるとされていました。ですが、①では古いリグは使い続けられないし、②と③では実測が必要だし、④はメーカーが頑張ってくれるかわからないし、私の目には、あまり現実的には思えませんでした。

ですが、パンフレットの以下の一文は、とても目を引きました。

これらのほか、アマチュア局については、保証の手続を活用することも可能です。

これは、保証業務を行うJARD等が、古いリグでも、「新スプリアス規格に適合している」ことを保証してくれれば、「新スプリアス機」として、平成34年11月末より後も使えるようにする、ということを意味するように思われました。いってみれば、「保証認定が古いリグを新スプリアス機として蘇らせる」というわけです。

そして、本日のJARDの「お知らせ」(https://www.jard.or.jp/info/info_20160205.pdf )です。

広く一般のアマチュア無線家の皆様にご協力をいただき、対象の無線機をお借りし(運送料や測定費用のすべてをJARDが負担)、そのスプリアスが新規格に適合しているか否かについて実態調査(実測)を行うものです。

実測した結果は、総務省に対し手続きが可能なデータシートをお付けして返却させていただきます。

現在総務省において、この①から③の方法以外に、アマチュア局独自の保証制度を活用した、より簡便な方法の追加が検討されているところです

とあります。

おそらく、古いリグの中にも、実は新スプリアス規格に適合している機種があると思われます。JARDは、そのような機種のデータを集め、十分にデータが集まった機種については、リグをJARDに送らなくても、「新スプリアス規格に適合している」ものとして、保証認定する、そうすれば平成34年12月1日以降も開局/変更申請OK・・。そんなことを考えてくれているのではないでしょうか。

今後のJARD・総務省の動きに注目です。

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Googleに八木・宇田アンテナ

今日のGoogleトップ画面は「八木秀次 生誕 130 周年」でしたね。
言わずと知れた、「八木アンテナ」または「八木・宇田アンテナ」の発明者です。

https://www.google.co.jp/

このアンテナは、実は同大・宇田新太郎教授の発明で、にもかかわらず特許出願は八木教授の単独名義でなされ宇田教授の名前が外されているといった、法的にも興味深い話がありますね。いわゆる冒認出願で無効なのではないかと思いますが真相はよくわかりません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E6%9C%A8%E3%83%BB%E5%AE%87%E7%94%B0%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A#.E6.AD.B4.E5.8F.B2

北朝鮮とのQSOの適法性

P5/3Z9DXの試験運用が始まったようですね。

ところで、日本のアマチュア局が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)のアマチュア局とQSOすることが、法令上、厳密にはどう取り扱われるのかを調べてみました(あくまで厳密には、です)。

国際電気通信連合(ITU)・無線通信規則25.1は、「異なる国のアマチュア局による無線通信は、一方の国の当局がアマチュア無線による通信に異議を述べる(object)ことを通告(notify)している場合でない限りは、許される」(私訳)と定めています。

25.1   § 1.      Radiocommunication between amateur stations of different countries shall be permitted unless the administration of one of the countries concerned has notified that it objects to such radiocommunications.

http://life.itu.int/radioclub/rr/art25.htm

ITUによる出版物「STATUS OF RADIOCOMMUNICATIONS BETWEEN AMATEUR STATIONS OF DIFFERENT COUNTRIES」2014年7月版には、異なる国のアマチュア局による無線通信を禁じている国として、北朝鮮が記載されています。これは、北朝鮮がITUにそのように通告していることを受けてのものと思われます。

https://www.itu.int/dms_pub/itu-t/opb/sp/T-SP-RR.25.1-2014-PDF-E.pdf

以上を前提とすると、今回のP5/3Z9DXは、北朝鮮当局から運用許可を得ているようですから、北朝鮮は、「異なる国のアマチュア局による無線通信の禁止」を解除したといえます。なので、ITU無線通信規則25.1による禁止も解けた、ともいえそうです。北朝鮮当局が「異なる国のアマチュア局による無線通信の禁止」を解除したことをITUに通告(notify)していれば、ITU無線通信規則上も完全にシロです。

もし北朝鮮がそのような通告をしなかった場合は、・・・微妙です。ITU無線通信規則上25.1による禁止は厳密には解けておらず、P5/3Z9DXとのQSOはITU無線通信規則25.1違反(日本のアマチュア局に限らず、全世界のアマチュア局が違反)ということになりかねません。北朝鮮当局がどう行動するか、また今回の運用がDXCC上どのように扱われるか、興味深いところです。

私はどうするか・・そもそもパイルに勝てないだろうな(笑)。

なお、「自国のアマチュア局と他国のアマチュア局との無線通信を禁止している国等」という平成14年08月16日総務省告示第479号があり、北朝鮮がリストされています。

http://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/a000047701.html

一般に、告示は上位規範(法律なり規則なり)との関係が明記されているものなのですが、この告示は、どの上位規範を受けて制定されたものか書かれておらず、位置付けがはっきりしません。上記ITUのリストによれば、この異議を通告している国はもうひとつあって、エリトリアです。ですので、本来であれば、上記総務省告示は、エリトリアも載せるべきだと思いますが、なぜ載っていないかは謎です。