ハムフェア2020の中止

2020年10月31日・11月1日に予定されていた2020年アマチュア無線フェスティバル(ハムフェア2020)を中止することが、2020年7月20日の午後、JARL Webで公表されました。

アマチュア無線フェスティバル ハムフェア2020の開催中止について

コロナ禍の収束が見通せない現状において、結論として、ハムフェアの中止はやむを得ないと思います。私も、とても残念です。

とはいえ、以下の思いが湧いてきます。

中止決定のタイミング

ハムフェア2020の出展申し込みは、当初、2020年6月10日が締切とされていましたが、6月30日に延長されました(JARL Webの告知文)。髙尾会長は、ラジオ番組「Radio JARL.com」において、今年の出展者数を例年の数と比較し、申し込みの出足が遅く、例年のレベルに達していないことを認めていました。Hamlife.jpの記事によれば、6月30日に至っても、ブースの申し込みは昨年よりも1割少なかったとのことです。

ですが、今年は、コロナ禍対応のため、ブースの数を減らし、間隔を空ける必要があることが容易に予想できたはずです。そうであれば、出展申込数が少ないことはむしろ「幸い」だったのではないでしょうか。にもかかわらず、例年どおりのブース数を目指して締切を延期した現執行部の方針に、私は強い不安を覚えていました。

他方、出展申し込みが少ないことが判明した時点で、収支の見通しは立てられていたのでしょうか。もし大幅な赤字が予想されていたのだとすれば、6月10日の出展締切の時点で、ハムフェア中止を決断できたのではないでしょうか。

その後、2020年7月5日のラジオ番組「Radio JARL.com」で、髙尾氏は、

・ハムフェアを開催するかどうかは、8月上旬のハムフェア実行委員会で決める。
・ビッグサイトからは、展示物には触るなとか、いろいろ制限を言われている。
・出展者はフェイスマスクをするとか、そういうことも必要かもしれない。

と発言されていました。
http://www.fmpalulun.co.jp/sound/jarl200705.mp3 ←リンク切れ可能性あり。

ビッグサイト側から展示物に触るなと言われたのがいつのタイミングだったのかは分かりません。しかし、例年のハムフェアの様子を思い起こせば、展示物に触るなと言われた時点で、もはや開催は無理と判断できたのではないでしょうか。7月5日の番組の収録日は分かりませんが、7月1日の時点ですでに、東京の新型コロナウイルスの新規感染者数は、1日100人を超えていたのです。

このように考えると、ハムフェア中止は、もう少し早く決断できたのではないでしょうか。その間に、交通機関や宿の手配をされた方もいたかも知れません。

ハムフェア中止が関係者に与える影響

ハムフェアはJARLにとって年間で最大の行事です。多数の関係者が関わります。これらの方々にハムフェアの中止が与える影響に、JARLとしてきちんと配慮し、対応しなければなりません。これは、組織としての「信用」の問題です。参加者を集めるだけ集めておいて、一方的に中止を公表してあとは知らん、では許されません。

・出展を申し込まれた一般の方は、ハムフェアを心待ちにしながら、展示物や配布物の準備を進めていたことでしょう。ハムフェア中止によりこの出展の「場」が失われる悲しみに思いが至れば、オンライン開催等の代替手段を検討すべきだったのではないでしょうか。講演はYoutubeで行い、資料は特設ウェブサイトを作る。最低でも、各出展者のウェブサイトに対するリンク集だけでも意味があると思います。

ちなみに、2020年6月26日から28日に予定されていた欧州最大のアマチュア無線イベント「HAM RADIO」は、オンラインイベント「HAM RADIOnline」として実施されています。

また、一般出展者の出展料の支払期限はまだ先だったようで、すでに出展料を支払った出展者は少なかったかも知れません。ですが、ハムフェアが中止となったときに、返金を受けられるかについて、JARL事務局に質問しても曖昧な回答しかされなかったとの不安の声が、複数聞かれていました(ラジオ番組「QSY」等)。

JARLとして「会員ファースト」を標榜するのであれば、遅くとも公式発表と同時に、出展申込者に、中止について理解を求めつつ、返金等の事後処理について案内する個別のメールを送っても良かったのではないでしょうか。しかし、7月21日朝の時点で、出展申込者への個別の連絡はないようです。案内文は郵送で送られつつあるのでしょうか。

・それでも、一般参加者はいわば「仲間」であり、ある種の「甘え」が許されるかも知れません。ですが、企業出展に対しては「甘え」は許されないでしょう。企業ブースに対する影響は、より深刻と思われます。各企業のハムフェアご担当者は、出展予算を確保し、具体的な出展計画を練り始めていたはずです。新機種の発表を予定していたメーカーもあったかも知れません。今頃、無線機メーカーのご担当の方は、気の毒なことに、ハムフェア中止により宣伝計画を変更しないといけないと頭を抱えていらっしゃることでしょう。ブースの設計費用や資材が無駄になる等の、金銭的な実損も生じたかも知れません。

公式発表を先に知ってしまった上司の方から、「ハムフェアが中止されるそうだが、どうするんだ?」と聞かれた担当者に、「すみません、JARLからは何も聞いていません。」と答えさせるのでしょうか。

このような事態を避けるために、企業ブースの担当者には、少なくとも、公式発表の前に、内々に中止を伝える等の配慮が必要だったのではないでしょうか。今年は、締切を延長してまで、JARL側から出展を要請したメーカーもあるようですから、なおさらです。

・JARLは、多数の公的機関や団体に、ハムフェア2020に対する後援・協賛をお願いしていました。

【後援】(予定)
総務省、文部科学省、東京都、NHK、読売新聞社、公益財団法人日本無線協会、一般財団法人日本アマチュア無線振興協会、日本アマチュア無線機器工業会、公益財団法人東京観光財団

【協賛】(予定)
電波新聞社、電波タイムス社、CQ ham radio、子供の科学

これらの関係各位に対する説明は、どうなっているのでしょうか。後援をお願いしていた総務省や文科省に、「公式発表を見ましたよね?」で、済ませるのでしょうか。

・2020年6月28日の定時社員総会に提出された令和元年度の決算資料によれば、ハムフェア2019関連の支出は3881万1000円(広報活動費)、収入は3216万1000円(雑収益)と、巨額です。ハムフェアは、JARLの予算のおよそ10%弱を占める、年間最大のイベントなのです。

ハムフェア2020を中止すれば、3000万円を超える収入が失われます。一方で、3800万の支出全額を節約できるとは思えません。東京ビッグサイトや関連業者に支払うキャンセル料はいくらになるのでしょうか。2020年予算に激烈なインパクトを与えるはずです。懸念されているJARLの破綻が前倒しにすらなるのではないか・・・、私たちJARL会員にとって、他人事ではありません。この点について、現執行部はどのように考えているのでしょうか。現執行部は、また、留保金を補填すればいいやと、安易に考えているのではないでしょうか。

今回の中止は、天変地変によるものでもなく、公表に至る準備期間はそれなりに取れたはずです。しかし、JARLの公式発表には、「よくある質問と答え」が記載されている訳でもなく、ハムフェア中止が与える影響、関係者に対する配慮は、うかがえません。

ハムフェア中止は誰が決めるべきか

今回のハムフェア2020中止を決めたのは、「アマチュア無線フェスティバル実行委員会」であると、JARLの公式発表に明記されています。つまり、中止の決定に、理事会は関与していません。理事・監事の皆さんは、今日7月20日の午前に、メーリングリスト上に投稿された髙尾氏名義の文書により、一方的にハムフェア中止の「決定」を知らされただけと伺っています。

「アマチュア無線フェスティバル実行委員会」を含む各委員会は、定款第66条によれば、「専門の事項に関し、理事会を補佐するために」設置される機関にすぎません。他方、ハムフェア2020の開催は、2019年9月に開催された第47回理事会で決議された、理事会決議事項です。また、ハムフェアは、2020年の事業計画と予算に組み込まれているものですから、ハムフェアの中止は、2020年2月に開催された第49回理事会で決議された事業計画と予算を大幅に変更することになります。このような理事会決議事項を、理事会を補佐するにすぎない、理事会の下部組織である委員会が、勝手に覆すことなど、組織論的にできません。「アマチュア無線フェスティバル実行委員会」によるハムフェア中止の決定は、定款第66条に反する越権行為に他なりません。

ですが、私が本当に言いたいのは、そんな形式論・手続論ではありません。

確かに、ハムフェア実行委員会の委員長である日野岳専務理事、そして髙尾会長は、苦渋の選択を迫られていたでしょう。大変な決断であったと思います。なので、先に述べたような、ハムフェア中止が引き起こす影響、関係者に対する配慮にまで、思いが至らなかったのかも知れません。いや、6万人の会員を抱えるJARLという大組織の業務執行を「自ら望んで」引き受けられたおふたりであり、日野岳専務には900万円という決して安くない年俸(に加え、今年1月には555万円の「退職金」)が支払われているのですから、それくらい期待してもよいように思いますが、難しいのかも知れません。

であっても、「ハムフェアを中止せざるを得ないのですが、こういう対応で十分でしょうか」と、他の責任者に相談することは、できたのではないでしょうか。他の責任者からは、「いや、こういう視点がたりないのでは?」「こういう対応も必要」という意見がもらえたのではないでしょうか。

ここでいう「他の責任者」とは、17人の理事と2名の監事で構成される理事会に他なりません。「三人いれば文殊の知恵」と言います。仮に、ハムフェア2020の中止の可否が臨時理事会にかけられていたら(あるいは、時間を節約するために理事監事メーリングリストに提案されていたら)、きっと、種村理事からは「出展者に対する配慮が必要ではないか?」との意見が、大矢理事からは「公的機関や企業出展者にはどのタイミングで説明するのか?」との質問が、永井監事からは「年間予算に与える影響は?不足分はどう補填するのか?」との質問がなされ、JARLとして、より適切な対応ができたはずなのです。

「いやいや、そんなこと、今の理事・監事に期待できるかよwwww」と思われた方がいるかも知れません。それは、今の理事・監事の人選が間違っていることを意味するのではないでしょうか。

昨年(2019年)6月の社員総会当日、午前中に開かれた理事会で、髙尾会長・日野岳専務理事が、「会場が確保できないので2020年のハムフェアは中止する」という重大事案を口頭報告で済まそうとしたため、大矢理事から、「単なる報告ではなく、理事会で協議すべき事項ではないのか」とたしなめられ、その後、会員の痛烈な批判を浴びて、一転、ハムフェア2020は開催されることになりました。このときに、髙尾会長・日野岳専務理事は、ハムフェアの開催・中止は、理事会を通すレベルの極めて重要な事項であることを、心に刻まれたのではないのでしょうか。

なのに、髙尾会長・日野岳専務理事は、なぜまた、理事会を通さずにハムフェア中止を決定するという、同じ過ちを繰り返してしまうのでしょうか。理事会で他の理事の意見を求め、自分たちが立てた方針を「謙虚に」見直すというプロセスを、どうして取れないのでしょうか。会員の代表である理事会を無視することが、「会員ファースト」であり、「会員皆様主役の連盟運営」なのでしょうか。

法と定款が定めるJARLの各機関は、単に存在すればよいというものではありません。JARLという大組織を適切かつ円滑に運営するために、法と定款が用意したものです。「JARLにとって重要な事項を決定するときは、理事会を開いて理事の意見を聞く」という当たり前のプロセスをきちんと励行する、これができて初めて、無味乾燥な法律と定款の規定に、魂が吹き込まれることになるのです。

(2020-07-21 記)

ハムフェア2020の中止」への7件のフィードバック

  1. まとめていうと、組織が組織として機能していない。それを実質的に全理事が認めてしまっているということでしょうか。確かに会長はとんでもなく無能に見えますが、会長がすべて悪いと言うだけでなく、現理事は何が悪かったのかを考えて欲しいですね。無能な会長を『結果的には』何動かせず(?)にほっぽっておいたんですから。

    • 組織が組織として機能していないのはご理解のとおりです。改革派理事6人と大矢理事は認めていません。これを認めているのは、会長について行っているだけの10人の理事です。どうして認められるのか、不思議でなりません。

  2. 中止はどうであれ会長の判断であれ当たり前です。
    でも、東海はやるようですが弁護士さんはどうですか?
    社員として中止を働きかけるべきと思いますが。

  3. 修正

    次期社員が正しかったですかね。
    コロナの方が最短問題でしょう。
    会員の90%が高齢者ですよ。
    危ないですよね。

    • はい、ハムフェアの中止自体は、当然の判断だと思います。そのプロセスと、中止後について考えが及んでいないことを問題にしています。

      東海については、東海で検討していると聞いています。現場の方のご意見を尊重したいと思います。

      • 東海の事は是非、中止にすべきですよ。
        感染者が出たらどうするのでしょうか?
        アマチュア無線事態の失態いや常識のなさを宣伝してしまいます。
        弁護士さんも歯切れが悪いですね。
        我々、一般では話しても無駄でしょからね。
        弁護士さんに頼むと規定で100万かかりますとか言われますので
        (裁判の時ですね)是非、無料でお願いします。

        長年の会員としてはカード転送をしてくれれば良いという
        風潮があり後はどうでもいいとやなら1年でやめていったんですよね。

        色々聞くとろでは表では言えませんがビール券にしても裏では受け取りますよね。
        いけないことですがね。
        ある議員に比べればねかわいいい。。(かなり酔ってます)。

        ちゃんとしたいなら、会長ほか無報酬じゃ話になりませんよ。

        大使の二人の批判もありますが私はハムフェアーなど楽しみで行ってますよまた、ラジオの出演したときは必ずアマ無線の話を8割してますよ
        7月15日夏木ゆたかホット歌謡聞きましたかね、無報酬で頭が下がります。
        一流歌手であればいいでしょうが絶対無理ですよね。

        報酬をちゃんと決めてそのうえで諸問題の規定を作るべきですね。

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