違法無線機販売撲滅に向けた総務省と販売サイトの攻防(一歩前進・一歩後退)

Amazon等のインターネット通販サイトで、日本の電波法に適合しない怪しげな無線機が(FRSなど)が公然と販売されていることは、無線家の方なら、残念ながらよくご存じかと思います。

標記の件について、2019年10月30日にパブコメに掛けられた「電波有効利用成長戦略懇談会 令和元年度フォローアップ会合 追加提言(案)」では、

 ・・・無線機器の製造業者、輸入業者、販売業者に加え、販売業者と消費者との間に介在する事業者のうち売買契約への関与が高い者(以下「媒介等業者」という。)にも、技術基準不適合機器の流通の抑止に向けた取組を求める必要がある。
 この取組は、一方で販売業者が行う販売活動を制約するものでもあるため、媒介等業者が取組を円滑に行えるようにするためには、法的根拠があることが望ましい。他方、過度の規制は、事業の発展の芽を摘む可能性があることから適当ではない。したがって、媒介等業者に対しては、販売業者等と同様に、技術基準不適合機器の流通の抑止に向け努力する義務を課すことなども考えられる。なお、類似の取組は、欧州でも行われている。
 また、製造業者、輸入業者、販売業者及び媒介等業者が、安心して事業展開しつつ、かつ、技術基準不適合機器の流通を抑止していくためには、それぞれの事業者が何をどの程度まで取り組まなければならないかを明確にする必要がある。このため、総務省においては、その具体的な内容について、ガイドライン等の形で対外的に明示することが適当である。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000652625.pdf (11頁以下)

とされていました。私は、これに対し賛成の意見を提出していました

ところが、2020年の通常国会に提出されている「電波法の一部を改正する法律案」では、インターネット事業者に対し技術基準非適合機器の流通抑止の努力義務を課す改正が含まれていません。この点を、伊藤岳議員(共産党)が質問し、高市早苗総務大臣は、「ガイドラインを策定する。必要な場合は制度改正も検討する」と答弁したとのことです。

おかしい、懇談会の追加提言で、媒介等事業者に対する努力義務が課されることになったはず・・と思い、「電波有効利用成長戦略懇談会 令和元年度フォローアップ会合 追加提言」のファイナル版を見直すと、なんと、

 ・・・無線機器の製造業者、輸入業者、販売業者に加え、販売業者と消費者との間に介在する事業者のうち売買契約への関与が高い者(以下「媒介等業者」という。)にも、技術基準不適合機器の流通の抑止に向けた取組を求める必要がある。
 技術基準不適合機器の流通抑止に向けた取組として、無線設備の製造業者、輸入業者及び販売業者においては、技術基準不適合機器が販売されないよう適切に取り組む必要がある。また、媒介等業者においては、従来行ってきた技術基準不適合機器の掲載を中止するといった事後の取組に加え、商品の出品段階における技術基準不適合機器の流通抑止に向けた取組を行うことが必要である。
 これを確保するため、無線設備の製造業者、輸入業者及び販売業者と同様に、媒介等業者に対しても、技術基準不適合機器の流通の抑止に向け努力する義務を課すことが考えられる。しかし、本提言の案に対する意見募集において、複数の媒介等業者から、技術基準不適合機器の流通の更なる抑止に向け、商品の出品段階における取組を進めていく旨が表明されたところである。
 製造業者、輸入業者及び販売業者による取組が適切になされ、かつ、媒介等業者による無線機器の出品段階でのスクリーニングや無線機器の技術基準適合性を確認するための情報の掲載といった自主的な取組の強化がなされれば、技術基準不適合機器の流通抑止が進展すると期待されることから、まずは、総務省において媒介等業者の自主的な取組を促すことが適当である。
 従来、製造業者、輸入業者、販売業者及び媒介等業者の各者は総務省からの求めに応じ個別事案に対する対応等を行ってきたが、各者の取組が適切に行われることをより確実なものとするため、総務省が各者に求める取組を予め明確化し、ガイドラインとして対外的に明示することにより、各者の主体的な取組を促すことが適当である。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000659630.pdf(12頁以下)

というように、媒介事業者に努力義務すら課さないものに、「案」よりも後退してしまっているではありませんか。インターネット通販事業者としては、法的規制は少ない方がよいに決まっている訳で、彼らがパブコメにおいて軒並み反対意見を出したために、総務省はその勢いに一歩後退してしまった訳です。

これが、立法に関する業界団体の政治力です。我らがJARLも見習わないといけません。

無線家の視点からすると、業界の自主的な取り組みを促すとの総務省の方針は、「甘い」と言わざるを得ないと思います。違法無線機の蔓延は、無線趣味のイメージを悪化させかねず、その意味では、フリラの皆さんのみならず、アマチュア無線家としても対岸の火事ではないと思います。また、アマチュア無線機は、非技適機種でもJARD/TSSの保証を得れば使えることを、総務省が作成する「ガイドライン」が適切に記載し、業者が正確に理解してくれるでしょうか。

今後、インターネット通販サイトで、本当に違法無線機の販売が減るのか、無線趣味界全体として注視する必要があると思います。

(2020-04-26 記)

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