「構内における空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」に関するパブコメ提出

「陸上無線通信委員会報告(案)に対する意見募集 - 「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの技術的条件」のうち「構内における空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムの技術的条件」 -」に対するパブコメの締切が明日であることを、JH4PHW坂井さんのツイートで思い出しました(感謝)。

920MHz帯、2.4GHz帯、5.7GHz帯を使って、電力をワイヤレスで送信するという規格(WPT)です。WPTに使われる周波数帯と既存のシステムの関係について、報告書案の中に図が示されています。

図3.1.1 920MHz帯の周波数使用状況(報告書案32頁)
図3.1.2 2.4GHz帯の周波数使用状況(報告書案34頁)
図3.1.4 5.7GHz帯の周波数使用状況(報告書案36頁)

920MHz帯はともかく、2.4GHz帯と5.6GHz帯では、アマチュアバンドとばっちり重なっています。直感的にヤバそう。心配です。

なお、今回の報告書が対象としているのは、「構内における」空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムに限定されています。しかも、2.4GHz帯と5.7GHz帯は、無人環境での利用(①屋内の無人の工場ライン(組み立て型工場)、②プラント(加工型工場)、③自動倉庫、④(自動)仕分けライン(配送センター))という想定です(報告書案14頁)。これらの例をみると、「アマチュア無線機を工場の近くで使わなければよいのでは?」と、アマチュア無線への影響はとりあえず限定的に見えます。

ですが、WPTを提案している事業者は、次の第2ステップでは屋外利用を、さらに第3ステップでは屋内外での大容量伝送を想定しています(報告書8頁、13頁)。産業側は「小さく産んで大きく育てる」つもりでしょうから、油断してはいけません。

このような重要事項にアマチュア側は関与していないのかというとそんなことはない訳で、この報告書を取りまとめた「情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会」の構成員には・・おお、我らが「日野岳 充 一般社団法人日本アマチュア無線連盟 専務理事」が列席されています。実際の作業を行ったワーキンググループ「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム作業班」の構成員には、「髙井 正興 (一社)日本アマチュア無線連盟 電磁環境委員会 委員長」が参加されています。

このように、政策決定過程にすでにJARLが関与してしまっている以上、今からアマチュア無線家個人が何を言っても、総務省からは、「アマチュア無線家の代表団体、JARLが関与しているんだよ?」と、切り捨てられるのが関の山です。だから、JARLにはしっかりしてもらわないと困るのです。

とはいえ、私は、以下の意見を提出しました。

1 アマチュア無線との共用検討において、アマチュア無線側の知見・意見を提供したのは、日本アマチュア無線連盟から参加した委員でしょうか。

2 アマチュア無線周波数帯との共用検討結果をみると、2400MHz帯についても(報告書案181頁)5600MHz帯についても(同202頁)、空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムのビームの方向とアマチュア無線の空中線の指向方向が一致する場合の検討結果しか示されていない。しかし、アマチュア無線の空中線は固定ではなく360°各方向に回転させて使用することが通例であるから、相互のビーム方向が一致する場合だけでなく、アマチュア側の空中線の指向方向をどの程度外せば共用が可能かについての検討も必要なはずである。
もし、そのような検討が行われているのであれば、その結果を報告書に盛り込むか、別の形で示していただきたい。もし検討が行われていないのであれば、共用検討が不十分であり政策を先に進めることはできないと考えられる。
なお、これらのアマチュア無線周波数帯で現実に用いられている空中線は指向性アンテナ(パラボラまたは八木)が一般的であるから、上記検討を、無指向性で利得も低いホイップアンテナを用いた検討で代替することはできないと考える。

3 仮にWPTが導入されてしまう場合、現実問題として、アマチュア無線側に混信等を与え、アマチュア側が使用周波数を変更せざるを得ないケースが出てくると思われる。そこで、アマチュア側の柔軟な対応を可能とするために、アマチュア無線パンドプラン(無線局運用規則第二百五十八条の二の規定に基づくアマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別(総務省告示第百七十九号)のうち、2400MHz帯及び5600MHz帯に関する部分を廃止し、民側の裁量を広げるようにしていただきたい。

3のバンドプランに関する意見について補足すると、アマチュアバンド内の使われ方/秩序を維持することはとても重要ですが、それを、バンドプラン告示という「法令」でお上に定めてもらうか、民側の自主規制で行うかは別の問題です。バンドプラン告示の改正は容易ではありませんし、これに違反すると行政処分が科されます。つまり、告示による規制は、アマチュア無線家の手足がお上に縛られ、自由が制限されるものであることを忘れてはならないと思います。

私は、2mと430については、違法局・不法局を摘発してもらうためにパンドプラン告示は必要と考えますが、その他のバンドについては、告示による必要性は極めて低いのではないかと考えています。

(2020-03-22 記)

「構内における空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」に関するパブコメ提出」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 「周波数再編アクションプラン(令和2年度改定版)」パブコメ結果の公表 | 7K1BIB/AC1AMの業務日誌

  2. 本件に対するパブコメ結果は、2020年7月13日に公表されました。
    https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=145209475&Mode=2
    私の意見に対する総務省の回答をメモしておきます。

    共用検討においては日本アマチュア無線連盟の方にも参画いただいてます。
    ワイヤレス電力伝送システムのビームは横方向だけでなく、縦方向にも短い時間で切り替わります。アマチュア無線の空中線の高さの差やチルト角等にも大きく依存するため、最悪の場合について検討を行い、その結果を記載しております。また、報告書参考資料6(8)表参6.8.1及び参考資料10に記載のとおり、自由空間伝搬損失を考慮して実際の指向性減衰量を用いた離隔距離の算出も表の指向性減衰量を任意の値とすることで可能としており、これにより共用の検討が可能です。さらに、検討においては指向性アンテナ(八木アンテナ)を用いた検討も行っています。
    報告書第3章に記載のとおり、他の無線通信システムとの共用については、使用環境や設置方法等を含めて検討を行い、周波数共用条件の取りまとめを行いました。
    加えて、報告書第5章に記載のとおり、アマチュア無線も含め既存の無線システムとの共用については運用調整の仕組みの構築について検討が必要としております。

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