2019年JARL社員総会における議長団の議事進行を検証する

 2019年6月のJARL第8回定時社員総会では、第1号議題「平成30年度決算の件」(理事会提案)と第2号議題「理事髙尾義則及び理事日野岳充 解任の件」(社員提案)が審理され、第1号議題は可決、第2号議題は否決されました。

 この社員総会の議長はJA1STY鈴木清氏(関東社員)、副議長はJA8DKJ三井武氏(石狩後志支部長・社員)でした。ここで改めて、当日の議事進行を振り返ってみます。

第1号議題の採決

 JARL公式の第8回定時社員総会速記録(JARL会員のみ閲覧可)から、採決の方法が決定された部分を引用します。まず、第1号議案についてです。社員の1名(田原社員)から、以下のとおり、採決の方法について動議が提出されました。

JA3HBF
 JA3HBF田原です。採決に関するお願いです。採決は挙手とし、計数をおこなって下さい。なお、定数の集計にあたっては、計数をされた数字を集計場所に持ち帰る前に、その列ごとに集計されると思いますけれども、その列ごとの計数をされた数字をまず公表して下さい。その後に、合計数を発表して下さい。だから、要は数を数えたら、その場で各列の数字を公表していただきたい。それと、棄権される方がいらっしゃると思います。賛成、反対だけではなく、保留される方の数も数えていただきたい。昨年は、保留の数を数えませんでした。昨年は、手を上げていない方がいらっしゃったにもかかわらず、賛否の合計数が全投票数の121票と同数になったのです。その棄権された方の票は、どこへ行ったのでしょうか。そういったことを避けるために、まず列ごとで計数された数字を公表して下さい。よろしくお願いします。

 田原社員の指摘は、2018年の社員総会における票の集計に疑義があったというものであり、社員総会の信頼を損ねる極めて重大な指摘です。また、田原社員の提案した集計方法は難しいものではなく、採用することに問題があったとは思われません。ところが、議長を務めたJA1STY鈴木清氏は、以下のように議事を進めました。


議長(JA1STY鈴木清氏)
 議事進行に関するご提案をいただきましたが、挙手といいますか、採決の方法に関しましては、議長が提案した方法でさせていただきます。採決については、拍手、挙手、その他、投票までいろいろありますが、この際、挙手による採決を取りたいと思います。それで、その挙手の数える方法にあたっては、議長団二人が目視で数えます。それで、その数が拮抗していると認められるときには、改めてカウント、数を数えたいと思います。ということで、議事進行上は、まずは挙手による採決を求めたいと思います。

 このように、JA1STY鈴木清氏は、田原社員の動議を取り合わず、議長団の目視による集計を先行させることを一方的に決めたのです

 その後、社員からは、事務局による集計作業に社員の立ち会いを求める動議も提出されましたが、これについても、鈴木議長は取り合わず、監事2名に立ち会いをさせることにより済ませ、各列の賛否の数字を読み上げることもしませんでした。

第2号議題の採決

 次に、第2号議題の採決に至る経緯を見てみます。第2号議題は、副議長であったJA8DKJ三井武氏により議事が進行しました。JARL公式の第8回定時社員総会速記録によれば、採決の方法を決めた部分は、以下の通りでした。

議長(JA8DKJ三井武氏)
 他に何かありますか。ないと認めますので、採決に入りたいと思います。先ほどの第1号議案と同じように、採決の方法としては、拍手、挙手、それから投票ということになりますが、取りあえず、今第1号議案と同じように挙手をしていただいて、その後で拮抗している場合にはカウントをするということにしたいと思います。議事進行に関してどうですか。ちょっとお待ちください。どうぞ。

JL1HHN
 JL1HHN安田です。先ほど、結構時間掛かっていましたので、是非書面、無記名で投票を希望します。集計の時は立会人も、ぜひ求めます。皆さん、早く帰りたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。以上です。

議長(JA8DKJ三井武氏)
 先ほども、そういう意見は分かりますが、一応議長として、先ほどと同じような形を取りたいと思いますので、よろしくお願いします。
 理事の髙尾会長、理事の日野岳専務理事の解任に賛成の方の、まず挙手を採って、その後に反対の挙手を採ります。

 このように、第2号議題についても、三井氏は、社員の動議を取り合わず、議長判断によるとして、無記名投票ではなく挙手によると一方的に決定したのです。なお、JARL執行部が公表した第8回定時社員総会の開催結果(非会員も閲覧可)には、以下の記載があります。

 質疑応答の後、議長から採決の方法が社員に諮られ、「一般社団・財団法人法やJARLの定款及び社員総会議事運営規程に則り、挙手による判断で議決したい。その際、賛否拮抗と考えられる場合は、賛成・反対・保留の別に投票をおこなう方法で採決したい」との提案が承認され、15時54分から挙手による採決が開始されました。

 しかし、以上の速記録から明らかなように、三井副議長は、議長判断により一方的に採決の方法を決定したのであり、これを社員に諮って承認を求めた事実はありません。したがって、上記「開催結果」の記載は正確ではありません。

 そして、三井副議長は社員に挙手をさせた後、

挙手で賛成少数ということで、第2号議案は否決します。

と宣言するだけで、賛否の実数すら集計することなく、第2号議題の議事を終了させてしまいました。

議長団が挙手による採決を採用した背景

 では、鈴木議長、三井副議長は、なぜこのように、採決は挙手によると一方的に決定したのでしょうか。そもそも、JARLの社員総会の議長・副議長は、誰が指名するのでしょうか。実は、JARLの社員総会議事運営規程は、以下のとおり規定しています。

(議長団)
第7条 会長は、出席社員の中から議長団として議長 1 人及び副議長 1 人をあらかじめ指名する。

(決議方法)
第15条 議案の決議は、議長が次の採決方法の中から当該事案に最も適切と考える方法をとって行う。 (1) 口頭 (2) 拍手 (3) 挙手 (4) 投票
(2項以下略)

 何のことはない、鈴木議長、三井副議長は、髙尾会長に指名された人だったのです。

 元来、会長は理事の一人にすぎず、理事は社員総会により選任されるのですから、会長を含む理事は、社員総会に監督される立場にあります(JARLの最高意思決定機関は社員総会です。)。ですが、JARLでは、議長団の指名権を会長が持ち、指名された議長が採決の方法の決定権を持つことにより、会長が、社員総会を間接的に支配できるような構造が、巧みに仕込まれているのです。

 鈴木議長、三井副議長の上記のような議事進行は、指名者である髙尾義則会長の意向が強く働いていると考えざるを得ません。特に、第2号議題は、髙尾会長・日野岳専務理事の解任という非常にセンシティブな議題でしたから、両議長に、何としても否決に持ち込めとの指示が下っていたことは想像に難くありません。

 鈴木氏は、ご自身のブログ(2019年6月24日の記事「第8回JARL社員総会速報」)に、以下のように記載しています。

 この議案(注:第2号議題)についても提案社員を中心に議案に賛成するよう質問・意見が出されました。また、議事の進行についても賛成側に有利に進めようと無記名投票を求める発言もありましたが、議長はこれを認めず、通常通りの挙手による採決方法の宣言に会場の多くの社員から支持の拍手が沸き起こりました。
 挙手による採決の結果は賛成少数、反対多数となり第2号議案は否決されました。社員多数が賛同できるような解任に値する内容はありませんでした。

 鈴木氏は、「通常通りの挙手による採決方法」といいますが、挙手による採決は、社員それぞれの意思表示が他の人に明らかになってしまうことに加え、JARL総会では、何故か、採決の際に事務局しか写真撮影が許されないことになっていますので、個々の社員の意思表示は、事務局・執行部のみが記録できることになっています。つまり、挙手による採決は、JARL執行部が社員に「踏み絵」を踏ませる行為であり、個々の社員の意思が採決においてゆがめられる恐れがあると言わざるを得ません。社員の自由な意思を正確に把握するためには、無記名投票がより適切であったと考えられます。

 鈴木氏自身が、無記名投票を「賛成側に有利」と述べています。つまり、議長団(鈴木氏)は、第2号議案への反対者が多くなるように(換言すれば、第2号議題の対象となった髙尾会長、日野岳専務理事に有利になるように)、挙手による採決を採用したことを自白しているのです

 JARL社員総会議事運営規程は、以下のように規定しています。

第8条 議長は、社員総会開催中、議事運営の最高責任者であり、本規程にしたがって常に公正な立場で議事の運営を行わなければならない。

 しかし、昨年の鈴木議長・三井副議長の議事運営は、果たして「公正」だったと言えるでしょうか。私は、2019年のJARL社員総会を傍聴し、Twitterによる実況中継も行いましたが、その議事進行(特に採決の選択方法)は、法律家の目から公正に見て看過しがたく、極めて残念なものであったと言わざるを得ません。

2020年JARL選挙 

 2020年JARL選挙において、JA1STY鈴木清氏は関東社員に立候補しており、所信表明(同氏のブログの2020年2月20日の記事)の中で、「高尾会長が推進している『会員が主役のJARL運営』を支援してまいります」と宣言しています。また、髙尾会長が創設した無線クラブ「アウト・ドア」の「顧問」でいらっしゃるそうです。

 また、JA8DKJ三井武氏は社員から鞍替えして全国理事に立候補しており所信表明の中で、JARL会長JG1KTC髙尾義則氏とJARL副会長JA8ATG原恒夫氏の推薦を受けていることを明示しています。

 私は、候補者が誰と親しいかを問題にしているのではありません。

 国会においても、両院の議長・副議長は、会派を離脱し無所属になります。「社員総会開催中、議事運営の最高責任者であり、本規程にしたがって常に公正な立場で議事の運営を行わなければならない」はずの議長という役割を拝命した者は、私心を捨て去って公正な立場で職務に専念すべきです。そのような公正な行動を取らない人は、理事や社員といった、JARLの公職にふさわしいのでしょうか。

(2020-03-18 記)

注)ブログ記事等において個人名を挙げることについて、名誉毀損に当るのではないかとのご心配を頂くことがあります。ですが、①摘示した事実が公共の利害に関する事実であり(公共性)、②事実を摘示した目的がもっぱら公益を図ることにあり(公益性)、さらに③摘示した事実が真実であるか(真実性)、または真実であると信ずるについて相当な理由があれば(真実相当性)、名誉毀損は成立しません(真実性の抗弁・相当性の抗弁)。
 過去のJARL選挙の投票率は、概ね30%程度、投票率が高い選挙でも50%未満のようです。投票率が低いのは、各候補者に関する情報が、有権者であるJARL会員にあまり共有されておらず、誰に投票して良いか分からない状況にあるからに違いありません。私は、有権者であるJARL正員のうちできるだけ多くの方が、たった9cm✕9cmの選挙公報や根拠のない噂、「聞いたことある名前だ」「このコールサインと交信したことがある」といった感覚「だけ」ではなく、より多くの根拠ある情報に基づいて、棄権することなく選挙権を行使されることが、必ずや、JARLという組織を良い方向に導いてくれると信じています。また、私が文章を書くにあたっては、リンクを多用し、できるだけ多くの根拠を示すよう努力しています(そのため、長くなりがちです。すみません・・)。
 私は、上記3要件を満たすように細心の注意を払って文章を書いているつもりですが、万が一、その方針に外れるような記載がありましたら、どうぞご指摘いただけましたら幸いです。

2019年JARL社員総会における議長団の議事進行を検証する」への8件のフィードバック

  1. ピンバック: 7K1BIBの選挙活動まとめ | 7K1BIB/AC1AMの業務日誌

  2. JA1STY>賛成側に有利に進めようと無記名投票を求める発言もありましたが、
    意見表明は当然ながら自分の意見が正しいことを他の参加者に表明することであり、このJA1STYの表現は、あたかも2号議案提案者が(不当な方法で)投票を進めようとしている、という印象操作そのものです。
    当然会長に指名された議長としては、会長に不利にならないように議事を進めようとするのは分かりますが、これに対抗する措置を予め検討しておく必要があったでしょうね。
    運営規定で議長解任動議は出せるようになっていないのでしょうか?

    • コメントありがとうございます。鈴木氏がブログに書いておられることは本心なのでしょうね。議長解任動議は当然出せます。万が一今年の社員総会でもこのような強引な議事進行をしたら、議長解任動議がでてもおかしくないと思います。

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