【思い出】ソ連の宇宙ステーション「ミール」からのパケット通信ログ

映画「セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー」の公開が近づいて来ました。
http://sergiosergei.com/

ソビエト崩壊により宇宙ステーション「ミール」から帰還できなくなったソ連最後の宇宙飛行士セルゲイを、キューバのアマチュア無線家セルジオが救済のため奮闘する、という映画だそうです。「セルゲイ」は、実在のソ連宇宙飛行士であるセルゲイ・クリカレフがモデル。

で、20年以上前に、「ミール」からの信号を受信したことがあることを思い出しました。当時流行していた「パケット通信」のログがあるはず。

懐かしい「フロッピーディスク」の束。
P_20181124_164214_vHDR_Auto.jpg

このFDの中に、ログが残っていました。「WINBOOK」とは、当時使っていたWindows95パソコン「WinBook SC」のことです。
P_20181124_161332_vHDR_Auto.jpg

残されていたログは、1996年1月15日のものでした。この当時、一般的には、パソコンを「モデム」を介して電話回線につなぎ通信する「パソコン通信」が行われていましたが、アマチュア無線の世界では「パケット通信」が流行していました。私も、モデムの代わりに「TNC」という箱を介して無線機に接続し、「ピーギャー」という信号を電波に乗せ、メールやミニ掲示板といった通信実験を楽しんでおりました。

当時使っていたTNC、まだあります。今は亡き東京ハイパワーの「KPC-2JB」であります。
P_20181124_165057_vHDR_Auto.jpg

1996年1月15日、詳細はもう覚えていないのですが、私はこのパケット通信用の設備を使って、ミールからの信号の受信を試みたようです。当時、私は埼玉県和光市に住んでいました(司法研修所の寮か?何やってるんだか(笑))。

残されていた「ミール」とのログは、以下のとおり、1996年1月15日00時34分18秒から始まっています。

W3EAX>WORLD [01/15/96 00:34:18]: <<UI>>:
REFLEX 01:20:35>AA55800000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

W3EAXは、メリーランド大学のクラブ局です(http://w3eax.umd.edu/ )。Wikipediaに、W3EAX局による「Spartan Packet Radio Expeiment」という実験が1996年1月に行われたことが書かれていました(https://en.wikipedia.org/wiki/Spartan_Packet_Radio_Experiment )。私はこの実験の信号を受信したのに違いありません。

以下のログは、00時34分56秒に、日本の7N1VFX局がミール上のW3EAXと接続を試みた記録と思われます。

W3EAX>7N1VFX [01/15/96 00:34:56]: <<UA>>:
W3EAX>7N1VFX [01/15/96 00:34:56]: <<D>>:

00時35分06秒の以下のログも、W3EAX局からの送信でしょう。00時34分18秒とは違う、ミールからのテレメトリ情報のようです。

W3EAX>WORLD [01/15/96 00:35:06]: <<UI>>:
SPRE_TELEM 01:21:27>00:8D 01:9A 02:00 03:9B 04:00 05:CF 06:00 07:AB 08:20 09:00 0A:9E 0B:9B 0C:9C

次のログは、ミールからのGPS情報と思われます。

W3EAX>WORLD [01/15/96 00:35:31]: <<UI>>:
GPS_TIME 01:21:52>41475AD6950344413000001003

W3EAX>WORLD [01/15/96 00:35:32]: <<UI>>:
GPS_LOCATION 01:21:20>83413778800F459B35415697BCE04535664144799EF573FA0A0000000000000000000000001003

00時35分41秒には、JS1JHK局がW3EAX局への接続に成功したようです。

JS1JHK-2>W3EAX [01/15/96 00:35:41]: <<C>>:
W3EAX>JS1JHK-2 [01/15/96 00:35:42]: <<UA>>:
W3EAX>JS1JHK-2 [01/15/96 00:35:43]: <<D>>:
JS1JHK-2>W3EAX [01/15/96 00:35:44]: <<UA>>:

ミールは地球を周回しているので、一定時間が過ぎると見えなくなります。00時34分から始まったこのパスは00時40分39秒まで続いて見えなくなり、02時07分に次のパスが始まっています。

下記のログは、私からW3EAX局に接続を試みて一瞬つながった記録のように見えます。Wikipediaによれば、周波数は145.550 MHz。当時の私の設備は短いモービルホイップに5W送信のはずなので、もしミールへの接続に成功したのであれば驚くべきことです(それにしても夜中の2時10分・・(笑))。

W3EAX>WORLD [01/15/96 02:10:01]: <<UI>>:
SPRE_TELEM 02:56:27>00:8A 01:96 02:00 03:97 04:00 05:CF 06:00 07:AB 08:30 09:00 0A:9E 0B:97 0C:9A

c w3eax
cmd:*** CONNECTED to W3EAX [01/15/96 02:10:17]
*** DISCONNECTED [01/15/96 02:10:17]
cmd:W3EAX>WORLD [01/15/96 02:10:19]: <<UI>>:

2時のパスは2時29分42秒で終わっています。次のパスは3時46分00秒から始まり5時22分57秒で終わっています。

W3EAX>WORLD [01/15/96 03:46:00]: <<UI>>:
REFLEX 04:32:32>AA5580FFFF012B00000000000000000000000003000000D30100003C050000F0060000E6070000BF07000015

5時22分にも、ミールからの信号がログに残っています。

W3EAX>WORLD [01/15/96 05:22:57]: <<UI>>:
REFLEX 06:09:32>AA558010000D0200921EFC966700A40846FF11000E0000C51CFB966300084A45EF12000F03002C1BF296607A

W3EAX>WORLD [01/15/96 05:22:59]: <<UI>>:
REFLEX 06:09:32>AA558012000F03002C1BF2966055D56B45B31300100000BE19F9965D00008841DB0C010000005FA9F3967C7C

そして、12時37分02秒に、次の信号を受信しているのです。

R0MIR>CQ [01/15/96 12:37:02]: <<UI>>:
HELLO FROM MIR CREW #20 : YURIY & THOMAS & SERGEY .

これは、ミールに設置されたロシアのアマチュア局「R0MIR」からの呼びかけに違いありません。「SERGEY」は、今回の映画のモデルであるセルゲイ・クリカレフでしょうか?

ログはここで終わっています。

映画はあまり見ない私ですが、今回の「セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー」は、ミールからの信号を受信した経験を思い出しながら、見に行きたいと思っています。

(以上、2018-11-24 記)

【思い出】ソ連の宇宙ステーション「ミール」からのパケット通信ログ」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 「セルジオ&セルゲイ」すばらしい映画でした。 | 7K1BIB/AC1AMの業務日誌

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