日本人でも一部利用できるCEPT勧告

(10/02 追記)もとより、この記事は、今後同様の取扱がなされることを保証するものではありません。運用にあたっては各国当局にあらためて確認される等、個人個人の責任でお願い致します。

CEPTとは、「欧州郵便電気通信主管庁会議」の略ですが、アマチュア無線の世界では、CEPTが採択した勧告”CEPT Recommendation T/R 61-01 CEPT Radio Amateur License”を指してCEPTということがあります。ここでは以下「CEPT勧告」といいます。

加盟国内では、行政手続も手数料もなしにアマチュア無線の運用ができるという素晴らしい制度です。

CEPT勧告にはアメリカ合衆国も加盟していますが、日本人は、米国のアマチュア無線免許を持っていても、CEPT勧告を利用して加盟国で運用することはできないといわれてきました。

確かに、CEPT勧告に参加しているアメリカ合衆国のFCCが、”AMATEUR SERVICE OPERATION IN CEPT COUNTRIES” (DA-11-221)というPublic Notice(以下「FCC Notice」といいます。)を出していることが知られています。

https://apps.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/DA-11-221A1.pdf

このFCC Noticeには、General以上のFCC免許を保有する”a U.S. citizen”は、CEPT勧告採択国でアマチュア無線を運用できると書かれています。「米国市民」でなければ、米国無線免許保持者でも、CEPT勧告を利用できないかのようです。

(11/02追記)このFCC Noticeの改訂版が2016年9月16日に”DA 16-1048″として発行されているとの情報を頂きました。比較しましたが、CEPT加盟国のリストがアップデートされているだけで、実質的な内容に変更はありませんでした。

http://transition.fcc.gov/Daily_Releases/Daily_Business/2016/db0916/DA-16-1048A1.pdf

●ですが、CEPT勧告は、受け入れ国(アマチュア無線の運用が行われる国)の側に、他の国の政府が発行したアマチュア無線の免許を(手続も手数料もなしに)承認するを勧告するものです。ですので、他の国の免許を承認し運用を許すか否かは、免許を発行した国が判断するのではなくて、受け入れ国の判断によるはずです。FCC Noticeは、免許を発行した国の意見であって、受け入れ国側の判断を拘束するものではないと解釈できます。

IARU Region 1のウェブサイトの”Operating Abroad”という記事にも、”The key point is that the operating privileges for the visitor operating under the CEPT Licence are defined by the COUNTRY BEING VISITED, NOT THE PRIVILEGES IN HIS OWN COUNTRY.”と書かれていました。

http://www.iaru-r1.org/index.php/operating-abroad

●このような視点に立って、虚心坦懐にCEPT勧告の原文を見てみました。CEPTの1部門であるEuropean Communication Officeのデータベースのこの↓ページに掲載されています。

http://www.erodocdb.dk/doks/implement_doc_adm.aspx?docid=1802

原文を見てみると、国籍要件は書かれていないことがわかります。すなわち、「アマチュア無線免許の発行国と国籍が一致していなければ、CEPT勧告は利用できない」という趣旨のことは、明記はされていないのです。

そこで、近いうちに訪問を予定している国のアマチュア無線を管轄している当局に、問い合わせを行ってみました。その結果は以下のとおりです。

●Finland
問い合わせ先:Finish Communications Regularoty Authorityのウェブサイト上の申請用紙(Application for Amateur Radio License)に記載されていたメールアドレス。
https://www.viestintavirasto.fi/attachments/lomakkeet/ATe.pdf

回答:(Spectrum Managementの担当者より)CEPT勧告は、アマチュア無線免許の発行国と国籍が一致してしていることを要求していないから、日本人が米国の免許を元にフィンランドで運用することは可能。手続は何も要らない。コールサインはOH/AC1AM。

●Estonia
問い合わせ先:Technical Regulatory Authorityのウェブサイト上に、Application for amateur radio licenseの送付先として記載されていた担当者。
http://www.tja.ee/applying-for-and-granting-of-radio-amateur-licence-3/

回答:CEPT勧告は、アマチュア無線免許の発行国と国籍が一致してしていることを要求していないから、日本人が米国の免許を元にエストニアで運用することは可能。手続は何も要らない。コールサインはESx/AC1AMで、xにはエリアナンバーを入れよ。首都タリンならES1/AC1AMとなる。

●Italy
問い合わせ先:Ministero dello Sviluppo Economico

回答:(問い合わせた人と別の担当者から)日本人であるあなたに、米国の免許に基づく3ヶ月のイタリアでの運用許可を出す。任意の書式の申請書と、米国免許をPDFで送付。費用は16ユーロ。
注:CEPT勧告に基づくものではないようです。許可の根拠は調査中。

●Germany
問い合わせ先:Bundesnetzagentur (Federal Network Agency)のウェブサイトに掲載されていた、Application for a 3-month Temporary Admission to participation in the amateur service in Germany )に記載されていたメールアドレス。

http://www.bundesnetzagentur.de/cln_1412/EN/Areas/Telecommunications/Companies/FrequencyManagement/AmateurRadio/amateurradio_node.html
回答:CEPT勧告の別紙2と4によれば、免許人の”National callsign”と訪問国のプリフィックスを組み合わせたコールサインを使うとあるから、自分の国籍の国がCEPT勧告に参加していることが必要。ただし、7日間のTemporary Admissionを無料で出してやる。

注:DARC(http://www.darc.de/der-club/referate/ausland/main-page-english/visitors-to-dl/)によれば”only in special cases”のはずである7日間のライセンスを、無償で受けることができました。私は日本では2アマなので、ドイツでは下級(Klasse E)と見なされるようです。コールサインは「DO/7K1BIB」が指定され、運用周波数は1.8MHz, 3.5MHz, 21MHz, 28MHz, 144MHz, 430MHz, 10GHz帯のみでした。

●以上のとおり、少なくともFinlandとEstoniaは、日本人による米国免許に基づく手続なしの運用が認められました。また、Norwayも同様であるとの話を聞いたことがあります。ネット情報(http://www.qsl.net/jh4rhf/offer/eu/eu.html )によれば、Swissでも、米国免許に基づく日本人の運用が許された例があるようです。他の国でも認められるかもしれません。

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日本人でも一部利用できるCEPT勧告」への7件のフィードバック

  1. 8月の東京ハムフェアではありがとうございました。おっしゃる通りで、オーストリアの田中さんのサイトでノルウェイのことが書かれていますが、それは私がスヴァールバル諸島で運用するに当たって、ノルウェイ当局から言われたことを田中さんにお知らせした情報です(笑)。ただ、米国FCC側が歴然と2011年2月7日付けで発行した、DA 11-221、そして2016年9月16日付けでアップデートされたDA 16-1048で、米国市民権を持つ人に限っています。その結果、DXCC上の扱いで不利となる可能性もあったため、私は敢えて日本のコールサインベースでの紙のライセンスを発行していただくことを選びました。こういう「大丈夫」情報って、本当に後から続く皆さんにとって有益かどうかは、私も悩むところなんです。海外との外国語でのやり取りに慣れた方であれば、私も個人的にこの情報のアドバイスを何度もしていますが.....
    山内さんも、このページにdisclaimerを記しておいた方が良いかもしれません。

    • 櫻井さん、こちらこそ先日はお世話になりました。米国FCCのDA 11-221についてはARRLの法令担当者にメールで質問したことがあって、確かにCEPT勧告原文には国籍条項はないね、という限度での同意は頂いています。そこで、FCCにそのことを伝えて欲しいといったら、はぐらかされてしまいました(笑)。この文書が最近アップデートされたことは知らなかったので、ありがとうございます。よく読んでみます。

      • つい数年前に、ドイツの著名ハムがギリシャ領の島でT/R 61-01ベースの運用をしていて逮捕された事件がありました。海外でのアマチュア無線運用は慎重に行動した方が身のためです。たとえ、こういった「大丈夫」情報を見ても、自分できちんと確認をしてくださるような方ばかりだと良いのですが。ぜひ、こうした情報はあるが、担当者によって異なる対応だったりすることもあるので、必ず事前に現地当局に自分自身で確認することを進める一文を追記しておいていただくのが良いように感じました。本当に、柔い規定なんですよ、アマチュア無線の相互運用協定って。

    • 櫻井さんがご指摘のドイツの著名ハムがギリシャ領の島で逮捕された件は、2012年のもので、最終的には無免許運用については無罪、証拠隠滅については有罪となっているようです。こういうこともあるので、海外運用は、念には念を入れて慎重に行うべきです。

      http://dxnews.com/dj6si_arrest_official-version-of-radio-amateur-association-of-greece/
      http://dx-world.net/sv5-dj6si-arrested-on-espionage/

      私は、免許関係の書類はハードを持つようにすることはもちろん、スーツケースを開けられたときにすぐ見える位置に免許関係の書類のコピーを入れるようにしたりしています。

      • はい、最終的にはそうなりましたが、そこに至る顛末は大変だったようですね。とにかく、何が起きるかわからないので、慎重にやっていただけるように、皆さんへ情報提供する場合は、気を使うようにしています。ここのところをご理解賜れば光栄に存じます。

  2. ピンバック: CQ誌デビュー!(2017年1月号) | 7K1BIB/AC1AMの業務日誌

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